ヰンダルジェンス

はやく主人公になりたい。(日々を可能なかぎり文学的に書き残す、私なりの彼との全記録)

The festival is over.

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くび、かた、にのうで、てくび。視線を落として、ふとももの付け根から蛇が巻き付くようにあしくびまで。身体中に残っている縄で縛られたあとは、まるで何か神聖な生き物が通っていった痕のように見えました。死体のような私の肌に残る赤い色はぼんやりとした私の頭に強烈な刻み込まれ、彼が私の首輪の鎖を引く時のように現実に引き戻します。指で少し凹んだ肌のその赤い色をなぞっていくと恍惚としました。私の人生が、ようやく"らしく"なってきた。

でも、私の肌にこの御神渡りの痕が永遠に残り続けることはないのです。いつか消えてしまう。魔法も呪いも十二時で解けるみたいに。氷の張った湖もいつかは水に戻るように。あんなに華やかなお祭りもいつか終わるように。

鏡に映った自分の裸、その表皮にくっきりと残された縄痕をみながら私は、この時の思いを書き残さなければいけないという衝動にかられました。それが、長らく筆を置いていた私が、もしかしたら二度と筆をとることはないかもしれないとすら思っていた私が、再び書き始めた唯一絶対の理由です。

 

人生の意味については先人たちがすでに語り尽くしていますから今更再定義をする必要などないのでしょう。ただ私は、人生そのものには意味などはなく、その課程にのみ何らかの意味があるのではないかと思っています。

「私たちの人生は、"主人公になりたい"という思いに帰結する」――私は、私の人生の主人公になること、私という人格を完成させることにしか興味がありません。主人公には記録された物語がつきもので、何も残らなければ私が私の人生の主人公であったことを証明するものは無くなります。なかったことにされてしまうことほど、虚しいことってこの世にあるのでしょうか。でもそれを嘆いても、後の祭り。なかったことにされたものたちが蘇ることなどあり得ません。私は大きな失敗を経て、そのことを学びました。

だからこそ、今度こそ、私はそんなことは許さない。私は、私と私の大好きなひととの日々を記録に残して物語にしてしまおう。不遜にもそう思ったのです。

私は私を主人公にする。私の好きな人を、私の世界の物語の登場人物にして、それと同時に彼自身の世界の主人公に据える。このブログの目的はそれだけです。日々過ごしたことや考えたことを、少しずつ綴って残していきます。

 

インダルジェンス、耽溺すること。耽溺とはすなわち、他を顧みず、一つのことに夢中になること。不健全な遊びに溺れること。

私が私の世界の主人公になれることを願って。再び筆をとります。

 

 

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