ヰンダルジェンス

はやく主人公になりたい。(日々を可能なかぎり文学的に書き残す、私なりの彼との全記録)

痛み分け(後)

痛くて苦しい一夜が明けました。泣きはらし吐き散らかしボロボロになった痣だらけの私を、ご主人はひたすら撫でて甘やかしてくださいます。出会えてよかった、出会えてよかった。ご主人はそう繰り返しました。同時に、私たちはとても、とても困っていました…

痛み分け (前)

自分の棲む場所が地獄だと思い出した夜でした。 ここのところご主人はずっとバタバタしておられます。諸々順調ではあれど、瑣末なことに悩まされなんだかピリピリとしておられる。「赤ワインが飲みたい」と仰るので仕事帰りに少しいいワインを買って帰り、い…

その呪いに祝詞を

サディズムやマゾヒズムは呪われた性癖です。人を虐げ殴り海綿体に血液が送られるのも、骨が軋むほど頭を踏まれながら子宮が下がってくるのも、気持ち悪くておぞましい。決して誇れるものでも美しいものでもありませんし、そんなもの、持っていないならいな…

わたしには青が見えない

9月になりました。Kと出会って既に半年以上、私たちは何もかもが早かった。瑞々しい熱情と盛り上がりは無かったものの、互いの日常に組み込まれるのもまた、乾いた大地が水を飲み込むように当たり前に早かったのです。大地の乾きがなくなり新しい植物が根を…

崩る、

魔夏、夜風に魘されて眠れずにべたついた体を寄せ合うのが好きです。息がつまるほど暑いのに、体が汗に濡れれば濡れるほど、抱き合った時に皮膚同士がひたひたとはりつくのです。 いつかご主人が言ったのです。「このままずっと強く抱きしめていたら……」「な…

酔狂、三日月、レミーマルタン

世は三連休、お月様程度には正確に暦通り動く私たちにも例外なく海の日の恩恵はやって参りました。 さて、連休の始まりはKと私、二人で避暑地へ。金曜の夜、仕事からせかせかと二人帰ってきて出かけました。仕事で嫌なことがあってシャワーを出てからぐずり…

デパートメントH 07.07.2018

本日はデパートメントHの感想と、我々の日常を細々と。 5月振り、2ヶ月空いてひさびさにデパートメントHへ出向きました。七夕ということもあってか、普段は少ない浴衣や和装の方も多く随分華やかな様相でございました。 前回行ったゴム祭りの時よりは人出は…

ヒポクリトの幸福論

人は誰だって幸せになりたい、という前提で世の中は動いています。幸せになるための節約術。占い。片付けの方法。お金のやりくり。生きとし生けるもの全て自分の幸せの方に歩みを進める――なんとも滑稽です。本気で幸せになることが幸せなのか、誰もわからな…

犬に矜恃

再三申しております通り、残念ながら私は大変生きにくい顔面をしておりまして、美人でもなければ可愛くもなく、笑顔が素敵なタイプでもなく、簡単に言えばただの卑屈な不細工です。それでもなんだか13歳だか、14歳の頃だかからお付き合いする方には困らず、…

色覚異常の世界より

基本的に私の見ている世界は情報という情報で溢れていて、それらの情報が異常な結びつきを起こしながら脳の中で常に漂っています。とりわけ色に関しては私は強烈に敏感です。発達障害の人の「色覚過敏」とはまた異なって、私の頭の中では情報と色とが多くの…

K knows,

K

私のぐずぐずとした文章も読み飽きられた頃でしょう。やれ梶井、やれ太宰、やれ夢野、そんな薄気味悪い文学ばかりを読んできた私の文章はおそらく読みにくく黴が生えていますから、今回は少し趣向を変えて、私のご主人に寄稿していただくことにしました。 私…

私たちの赤色

後ろ手に組んだ腕をKが整えて、そっと組み直させると、体がふわっと浮き上がるような気がしました。ああ、これから縛られるんだ。そう思ったら、安心したような、敬虔なような不思議な気持ちになって、私はいつも泣きそうになってしまうのです。 Kの最近のご…

盲蜥蜴と小夜啼鳥の寓話

夜を切り裂き飛び回る小夜啼鳥と、その天敵である盲蜥蜴。彼らはかつて仲良く暮らしていたことがあるのをしっていますか。小夜啼鳥も、盲蜥蜴も、昔持っていた目玉はひとつずつ。ひとつの目しか持たない異形同士、身を寄せあい助けあい、しあわせに穏やかに…

Re:

初夏の匂いがします。雨が降ったり寒くなったり、不安定で寂しげな春はあっという間に過ぎ去ってもうすぐ夏が来るようです。どうもここのところ年々、春というものが短くなっている気がします。一体それは、慌ただしい年度の初めを味わう余裕がないだけなの…

時よ止まれ、

Verweile doch, du bist so schön! 時よ止まれ、汝はいかにも美しい! この世の全てを知り尽くした天才ファウストの元に、ある時黒い犬が現れます。その犬は、悪魔メフィストフェレスが化けたものでした。 「学問を究めたあとですら利口になっていない」と嘆…

In WonderLand

アリス=リデル。永遠の少女の象徴。キャロルが書いた「不思議の国のアリス」のモデルと言われているイギリス人女性です。彼女はなかなかに波乱に満ちた生涯を送っています。3歳でキャロルと出会い、のちに20歳も離れた彼に求婚されたとか、されていないとか…

デパートメントH 05.05.2018

暖かくなってまいりました、と書いている本日、気温、摂氏15度。めちゃくちゃな気候が続いており、私は体調を崩し気味です。5月病の時期にさしかかりましたが、乗り切って行きましょう。 さて、月の初めはデパートメントHに行かないとはじまるものもはじまら…

生癖 - Kの話

性癖と呼ぶにはあまりに生きるために必要な"何か"に近く、 生きていく上での癖としてはあまりに人に受け入れられないリビドーのお話。 この記事では私の恋人であり、世の中を面白く生きていくためのパートナーであり、何故か血のつながりを感じる存在であり…

生癖

タイトルを読んで「せいへき」と読むか、「いきぐせ」と読むかで心の純粋さがわかる気がします。残念ながらどちらが正解というお話ではなく、せいへき、かつ、いきぐせ、両方に引っかかります。"癖"というのは面白い言葉で、ヘキと読めばなんとなく性的なも…

Killing me softly

"Killing me softly with his song"という有名な歌があります。人々はこれを「やさしく歌って」と和訳しましたが、私は素直にやさしく殺して、というほうが色っぽいと思います。彼が歌う。私はその歌声で、胸が締め付けられて、死んでしまいそうになる。そん…

世界が始まった時のお話

Sは私によく言いました。「君は俺の神様、君だけいればいい、愛してくれない母親も他の人もいらない、俺の神様。俺の神様。俺の神様。俺だけの」、――信じるものに捨てられた神様はどうなるのでしょうか。神を作るのは人々の信仰心です。逆に言えば、信仰心の…

世界が終わった時の話

ちょっと長くなります。私が生きていた一つの世界が終わって、新しい世界がはじまったお話をさせてください。 2017年、今振り返っても全くロクな年ではありませんでした。とあるご高名な占い師の作った表を見ると、去年の私は小殺界。何だかよくわかりません…

The festival is over.

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